君がいた季節
ずっと心の中にしまいこんできた彼女への想い。
本当は、気づいてもらいたかったのかもしれない。
彼女は気づいているのだろうか。
俺を見上げるその瞳に、俺は、どう映ってるのだろう。
「………アヤちゃん」
「はい?」
『言えばいいのに』
振り払ったはずの言葉が再び思い出された。
「俺は、………」
「はい」
「…………」
馬鹿だな。
今まで我慢してきたじゃないか。
我慢してこれたじゃないか。
「どうかしたんですか?目、赤いですよ?」
黙り込んだ俺の顔を心配そうに覗き込む彼女に、
「少し、飲み過ぎたのかもしれない」
そう言って笑ってみせる。
手を伸ばせば届く距離にいる彼女を、俺はただ眺めるだけ。
それしかできない。