君がいた季節
「おい、美佐子!おまえ、なんなんだよ」
教室で友達と話していた美佐子に詰め寄ると、
「あぁ…。おはよ」
と、俺の問いに答えることなく、面倒くさそうな表情をしてチラリとこっちを見る。
「なんだ、その態度。すみませんぐらい言うだろ、フツー…」
なんなんだよ、その憎たらしい顔は。
大体、なんでおまえが不機嫌になるんだよ。
ブツブツと文句を言う俺を見上げ、大きくため息をついた美佐子が、
「なんであたしが謝らなくちゃいけないわけ?」
と言って視線を窓の外へと移した。
「おまえが来るの、待っててやったんだ。謝るのがフツーだろ?」
「はぁっ!?」
目を見開いた美佐子は俺を見ると、
「待っててやった、って?べつに頼んでなんかないし」
そう言うとフンッと鼻を鳴らした。