君がいた季節


「で?なんなの?」

腕組みをして俺を睨みつける美佐子。


言いたいことは山ほどある。

今日のことに限らず、あれもこれも。

常日頃から積み重なってきた不満の数々。


ついでに吐き出したい気分だが、全部を吐き出すには時間がいくらあっても足りない。


「早く言いなよ」

「…………」


それに。これ以上こいつの機嫌を損ねてしまうのもどうかと思う。


結局、

「電話ぐらい出ろよな」

としか言えない弱い俺。


美佐子は伸ばしかけの前髪をかきあげると、

「仕方ないじゃん。出られなかったんだもん」

と生意気なことを言う。


「ほほぅ。出られなかった?それはなぜ?」

ため息まじりに聞けば、

「だってさー。彼氏の横で、あんたからの電話になんか出れないじゃん?」

って。

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