君がいた季節
俺は美佐子のことが好きだった。
もう、ずっと前から。
小学二年の夏。
美佐子がこの街に越してきた。
気の強いところも、プライドの高さも、この頃には既に確立されていて、周囲になかなか打ち解けられず、ひとりでいることが多かった。
『仲良くしてやってね。大和くんのこと、頼りにしてるわ』
美佐子のことを心配したおばさんにそう言われ、最初は仕方なく話しかけてやった、って感じだった。
膝を抱え、体を小さくしてみんなを眺めている美佐子に、
「一緒に遊ぼう」
と声をかける。
美佐子からは、
「あっち行ってよ」
「ひとりにして」
いつもそんな言葉ばかりが返ってきた。