君がいた季節


「フラれ、た……?」

俺の言葉に小さく頷いた美佐子が再び体を丸め膝の上にあごをのせた。


「……他に、好きな子……いたんだって。
なんかさ、その子にヤキモチやかせたくて…、あたしと付き合った、……みたい。
ふたり……、付き合うらしいよ」

こみ上げてくる涙を堪えるように下唇を噛む美佐子の姿を見て、胸の奥がズキズキと痛んだ。


なんだよ、それ。

おかしいだろ。

だって、あいつ……。


美佐子がこんなにも傷ついているのに、あの男がいつもと変わらない笑顔でいたことを思い出し、腹が立った。

沸々と、怒りがこみ上げてくる。


急に立ち上がった俺の制服のズボンをとっさに掴んだ美佐子が、真っ赤な目で俺を見る。


「どこ行くの?」


「あいつんとこに決まってんだろ」

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