君がいた季節
「やめてよ……っ。みっともない」
固く握りしめた俺の拳を掴んだ美佐子。
「は……?みっともない?」
「そうだよ。みっともない」
「なに言ってんだよ。バカじゃねぇの?」
さっき子どもみたいに泣いてたじゃん。
悔しいんだろ?
はいそうですかって、それで済んじゃうようなものでもないだろ?
「このままあいつのこと、許しちゃうわけ!?
それでいいのかよ。おかしいだろ」
俺はいやだね。
このままじゃ気がおさまらない。
一発や二発くらい殴ったところで鎮まるようなものでもないけど。
それなのに、
「おかしいのはあんたのほう」
真っ赤な目を手の甲でゴシゴシと拭った美佐子は、
「だって、仕方ないじゃん。あんたが何かしたところで、私と総一郎がどうにかなるわけでもないし」
そう言ったんだ。