君がいた季節


どうしたらいい?

雪を降らせるって、どうやって?


雪が見たいってことなら、どこに連れて行けばいいんだ?

真夏に雪が降る場所なんて、どこにある?


………。


あれこれ悩んでみたけど、美佐子を満足させるような考えはひとつも浮かんではこなかった。



「できないなら、簡単に『わかった』なんて言わないでよね」


フンッとそっぽを向いた美佐子に、

「でっ、できる!見せてやるよ、雪」

とっさにそう叫んでしまった。

「だったら早く見せてよ。こんなところにずっといたら、暑くて死んじゃう」

ギラギラと熱を発しつづける太陽に手をかざした美佐子。


「………あ」

そうか。

あるぞ、雪!


俺は美佐子を連れて、慌てて家へと向かった。

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