君がいた季節
『雪は降らせてあげられないけど』
そう言って俺が差し出したのは、
イチゴのシロップがたっぷりかかったかき氷。
『これしか思い浮かばなかったんだ。でもさ、この雪、食べても汚いって怒られないし。
それに。甘くて、美味しいよね?』
俺なりに考えた雪を美佐子は黙って口に運んだ。
わざわざ作ってやったのに、
『ありがとう』
なんて言わなくて。
『甘すぎ。最悪』
って、何度も言ってた。
でもさ、いい顔してた。
やっぱり思ってた通りだ。
美佐子って、笑うとかわいいんだ。