君がいた季節
「作ってやりたいけど。多分、もう捨てたんじゃねぇの?あれ、グルグル回すやつ。食いに行ったほうが早いって」
もう何年も目にしていない。
なんでもかんでもポイポイと処分してしまうあの母親が、今でもあれを大事にとっているとは思えなかった。
「ないなら買えばいいじゃん。グルグルするやつ。買って、作ってよ」
俺の後ろで手を回して、かき氷を作る真似をして言う。
「面倒くせぇ~。……っつぅか。あれって、なんて言うの?なんて名前?」
って俺の問いに、
「えーっ?いいんじゃないの?グルグルで」
ケラケラと笑う美佐子。