君がいた季節
「お待たせしました」
机に向かいスケジュール帳に仕事の予定を書き込んでいると、丁寧に綴じられた資料が視界に入る。
「ごめんね。ありがとう」
そう言って彼女を見ると、
「間に合って良かったですけど、ね」
左の頬を膨らませ、わざと怒った表情をして見せる。
俺は、申し訳ないと頭を下げたあと、机の引き出しを開けて用意しておいた物を取り出した。
会社に戻る途中、コンビニで買った彼女へのご褒美だ。
「よろしければどうぞ」
「えっ!?……いいんですか?」
「うん。急がせちゃったし」
「わぁっ、うれしーっ。これ、買おうかどうしようか迷ってたんですよ」
さっきまでの怒った表情は何処へやら。
新商品のチョコレート菓子を手に、ニコニコ顔の彼女。
彼女の笑顔につられるように、俺の口元も自然と緩んでしまう。