君がいた季節
「ちょっとーーーっ!」
体育館に響きわたる声。
練習中のバスケ部員たちが一斉に声のしたほうへと視線を移した。
「どーゆーことっ!?」
みんなの視線を全身に浴びながらも、上履きを脱ぎ捨て体育館に上がりこんできたそいつは、制服のスカートの裾を揺らしながら、ものすごい顔でこちらに向かってくる。
怒りの矛先が、一体誰に向けられているのか。
誰もが固唾をのんで見守っていた。
「サエのどこが気に入らないのよ!」
そいつは足を止めると同時に怒鳴り散らす。
いつ殴りかかってもおかしくないほどの勢い。
「……」
目の前の、突然の訪問者に呆然と立ちつくす。
怒りの矛先が向けられたのは、紛れもなくこの俺だった。