君がいた季節
「なんなの?あんた、何様のつもりっ!?」
「一体、どうゆー神経してんのっ!?」
次々と吐き捨てられる言葉。
それを全部かき集めて、そっくりそのままおまえに返したい。
「黙ってないでなんとか言いなよ!サエのどこが気に入らないの?」
目の前で睨みをきかせるクラスメイトに、俺は仕方なく考え込んでいる素振りをしてみせた。
「どこって…」
気に入るとか気に入らないとか、答えられるほど『サエ』って子のことを知ってるわけじゃない。
考え込んでいるフリを続ける俺に痺れを切らしたクラスメイト。
今度は、
「サエはね、あんたのこと、ほんっとに好きだったんだからねっ」
次から次へと『サエ』の気持ちを代弁する。