君がいた季節
「なんで黙ってんの?」
腰に手をあてて吠えまくるクラスメイト。
勘弁してよ。
体中に突き刺さる部員たちの視線が痛い。
なんでおまえまで、サエと同じように涙目になるのか、意味がわからない。
「なんとか言いな!」
何度そう言われようと、この状況下で頭が働くわけがない。
「あー…」
手にしていたバスケットボールに視線を落とした俺。
「わりぃ。あと頼んだ」
近くにいた後輩にボールを放り投げると、走ってその場を離れる。
「あっ!こらっ!逃げるなーっ!!」
そんな叫び声を背中に浴びつつ、体育館をあとにした。
走りながら思ったこと。
『女ってめんどくせぇ』