君がいた季節
「ったく…」
イライラをぶつけるように足元の小さな石ころを蹴飛ばした。
小さな石ころは思ったほど転がってはくれず、コロコロと近距離で動きを止めた。
「チッ…」
と、小さく舌打ち。
ブランコと滑り台と鉄棒しかない、普通すぎる公園の中をイライラしながら歩く。
この公園を横切るのは、ここが自宅への近道となるからだ。
石ころから視線を上げると、公園の隅にある、赤色のペンキがところどころはげてしまったベンチに目が止まった。
正確に言えば、ベンチに座っていた人。
ひとりで。
しかも、泣いてる人。
「……」
ヤなもの見ちゃったな。
これ、正直な感想。