君がいた季節
「どれだけ泣いたって、状況は変わらないと思うんですけど?」
そう言おうとしたんだ。
だけど、真っ赤な目をまん丸にして俺を見ていたそいつが、
「ぷーっ」
突然、吹き出すものだから、何も言えなくなってしまった。
代わりに、
「……なっ、なんだよ」
眉をひそめてそう言った。
しばらく腹を抱えて笑っていたそいつは、何度も深呼吸をして呼吸を整えると、
「だって、だって…さ。声がさ、『まだ』って。声が…『まだ』って裏返った、もん…っ」
俺の言い方をマネたそいつは、また思い出したのか、ぷーっと勢いよく吹き出した。