君がいた季節
一気に顔が熱くなった。
体温もジワジワと上昇していく。
恥ずかしさをごまかすように、俺は、
「ふざけんな、てめぇ。裏返っちゃわりぃのか、ボケ」
なんて、汚い言葉を吐き捨てた。
それでもそいつは動じることなく、
「ごめん、ごめん。笑っちゃいけないと思ってガマンしてたんだけど、ダメだった」
クスクス笑いながら、目尻にたまっていた涙を指で拭った。
クソッ…。
コホン、と咳払いをした俺を見て、そいつは、
「ねぇ、ここ。よかったら座らない?」
自分の隣をポンポンと叩く。
冗談じゃない。
「いや、いいッス…」
「えーっ。いいじゃん。ちょっとだけ話そうよ。ねっ?」
そいつはスッと立ち上がると、俺の右腕を両手で掴んだ。