君がいた季節


なんだ、こいつ。

この変わりようは、なんなんだ?

ありえねぇ。


って、……えっ?


掴まれた右腕が、ありったけの力で引っ張られたと思った瞬間、

「あ、ちょっ…とっ…とっ、と」

さっきまでびくともしなかったはずの俺の両足は、ペリペリと、いとも簡単に地面から剥がされてしまった。

ぐらついた体がベンチに吸い寄せられていく。


ストンー…


頼んでもいないのに。

なに勝手に座ってんだ、俺の体は。


…それより、こいつってば、一体どんな神経してんだ?


細めた目が真っ赤でなければ、こいつが、ついさっきまで泣いていたとは、とうてい思えない。

だって、唖然とする俺の目の前で、何事もなかったかのように、ニコニコ笑ってるのだから。

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