君がいた季節


きゅっ。


音にしたらきっと、こんな感じ。


胸の奥の一部分が、何故か窮屈になって。

呼吸することを忘れていたみたいに息苦しくなって。

酸素の行き渡らなくなった脳がマヒしたみたい。


右隣に座っている人間に、体の全細胞が意識を集中しはじめると、俺の体の右半分が徐々に熱をおびていく。


あれ?

……なんだ?この感覚。


そう思ったとたん、心臓がドクドクと激しく動きはじめた。


泣いていたと思ったら急に笑い出して。

ニコニコ笑ってたかと思ったら、また泣き出しそうな顔をして。


コロコロ変わる表情に、完璧に振りまわされてしまった俺。

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