君がいた季節
「虎太郎くんてさー、好きな子とか、彼女とか、いたりするの?」
口に含んだアメを、おいしいおいしいと言っていた梓に、突然そう尋ねられた。
「……い、いない」
何故か心臓がドクンと反応し、そのことに驚いた俺は声を震わせてしまった。
「あれれ~?動揺してる~」
からかうように俺の顔を覗き込んだ梓。
「ちっ、ちがっ…」
そこで余計に慌ててしまったものだから、
「隠さなくてもいいのに~。そっか、そっか~。虎太郎くんにもちゃんといたんだね~、カ・ノ・ジョ。安心したよ」
なんて、勘違い。
っつーか、一体どんな脳ミソしてんだよ。
勉強のしすぎでイカれたんじゃね?