君がいた季節
「勝手に決めつけんな」
「またまた~。照れちゃって」
ツンツンと指でわき腹をつついてくる梓。
「やめっ…。やめろっ…て」
腕をわき腹にぴったりとくっつけて必死に抵抗するものの、隙をみつけてはつついてくる。
両手で握りしめていたアメも、ポン、ポンとあたりに散らばっていった。
カッと、熱くなった体。
のども、目の奥も、全身が熱い。
「…やめろって!」
手にしていたアメを、梓の膝の上に投げつけた。
ニコニコしていたはずの梓の表情が、固まっていく。
制服のスカートの上に散らばったアメが、パラパラとこぼれ落ちていく。
そのすべてがスローモーション。
ゆっくりと、俺の頭の中に焼きつけられていく。