君がいた季節


「あっ、あった!これこれ~っ」

理乃はそう言って目をキラキラさせ、箱に入ったチョコレートを手に取った。

「なーんだ…」


『どうしても欲しい物があるの!』

そう言ってコンビニに引きずりこまれたものだから、一体なにが欲しいのかと思えば。


「やっと会えたね」

呆れ顔の俺を無視して、箱に頬ずりまでする始末。

「アホらし…」

しばらくはここを離れないであろう理乃を残し、雑誌コーナーへと足を運んだ。

後ろから、

「あーっ!ここにもっ。みーっけ」

なんて聞こえてくる声に苦笑いしながら、今日発売のマンガ雑誌のページをめくる。

< 96 / 109 >

この作品をシェア

pagetop