愁傷のダリア
?「そこ、いがみ合ってる場合か?」

不意に、シュトラーフェらしくない、涼しげとしたため息混じりの声が聞こえてきた。不思議に思ったハウラがシュトラーフェに
「何か言った?」
と聞くが
「いや、俺は何も‥‥」
そう言った。やはり、違うみたいだった。じゃあ、誰の声だと辺りをキョロキョロとしていると、

「早く出た方がいいぜ。そこの警官、増援呼んでるっぽいから。」

そうやって、また同じ声が聞こえた。そのせいで、その声の人の話が入ってこなかった。けれど、気にしているのはハウラだけのようで、シュトラーフェはちゃんと聞いていた。

「なっ‥‥!!」

その声に警官の方を振り向くと、先程シュトラーフェが殴り飛ばした警官は微かな力でトランシーバーに向かって話していた。

「くそっ、誰だかわかんねーけど、今は逃げるぞ!」

「え、えぇ。」

謎の声に助けられた2人は、急いで出口へと向かった。
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