泡沫の夜
なにも言わせない。
抵抗も受け入れない。
そんな強引な彼をほんの少し責めるように見上げる。
「いいね、その目。ゾクゾクする。
涙で濡らして熱に浮かされたみたいに溶かしてやりたい」
クスッ、と笑う彼はどこまでも余裕に見える。
そういえば、理央くんはベッドの中ではいつもこんな風に私を征服したがっていた気がする。
1つ1つ反応を見ながら私をせめたてて、私のいいところを見つけるたびに嬉しそうにそこばかり責めてくる。
「サディスティックだわ、」
既に灯された熱に浮かされかけ、じわりと浮かんだ涙を拭くこともできずに彼を見上げれば、満足そうな笑みが見えた。
「それは、自覚してる。今までは懸命に耐えてる姿も可愛かったから、許してあげていたけど……今日はそんな甘くないから」
彼の言葉に呆然とした。
もしかして、私の必死の攻防すら彼には全てお見通しだったってこと?
それじゃあ、彼を満足させていたと思ったのは、私の……。
「考え事ができるなんて、余裕だな。今日は絶対鳴かせるって決めてるから。そんな余裕ないはずだよ」
「……嘘、そんな待っ……」
またしても唇を塞がれて言葉も、そして思考も奪われていく。