泡沫の夜
その後の出来事は、夢に浮かされているようだった。
彼の指が、唇が、舌先が、彼が触れる全てが私の身体に熱を灯す。
熱く……焦げそうな位熱く滾らせて、そして細胞1つ1つを溶かしていく。
そんな風に彼自身の熱が私の中に深く沁み込んで、彼の存在を色濃く残した。
鳴かせる、そう自信たっぷりに告げた彼の言葉は、決して嘘ではなかったと思い知らされる。
声が勝手に溢れていく。
恥ずかしいとか、はしたないとか、そんなことを考える余裕すらなかった。
ただ、彼から与えられる快楽に身体が、心が、自然と悦びの声をあげていた。
悦びの声をあげ……そして貪欲に彼を求めた。
彼は、私ですら知らない私の中の女の部分を引きずり出して解放したのだ。
心が軽くなっていく気がした。
頑なに閉じていた蕾が自らの意思で開花していく。
それは初めて知る感覚だった。
決して嫌なものじゃない。とても幸せなもの……そんな気がした。