泡沫の夜
全てが終わって、指1つ動かせずベッドに沈み込んだ私を、理央くんはそっと抱き上げてバスルームへと連れてきた。
いつ湯を張ったのか、浴室には湯気が立ち込めている。
理央くんはバスタブのそばの椅子にそっと私を降ろして、丁寧に体を洗い始めた。
「……やだ、自分で……」
そんな事までされるなんて、そう思いつつも結局は動くこともできなくてされるがままでいるしかなく。
手早く自分の身体まで洗い終えると、再び私を抱き抱えて湯船に浸かった。
背中に理央くんの胸を感じ、肩には理央くんの顎が乗り……そんな状態で彼は大きく息をついた。
「大丈夫?……無理させた。ごめん」
「大丈夫」
実はそう答えるのが精一杯だった。
本当に動けないくらい身体が気怠るいのだ。