泡沫の夜
Sakura weather
◇
「花見と足湯?」
お昼時、ほんの少し暖かくはなってきたけれど、まだまだ風は冷たい3月の初め。
会社の近くのカフェでランチをとっていた理央くんと私。
理央くんが今回出した企画の話をしてくれた。
「花見のツアーだから、短期企画なんだけどさ、ちょっと穴場な桜並木の公園があるんだけど、その近くに最近足湯が出来たんだ。花見の季節って風もあって寒い日も多くて。で、足湯も組み合わせたのをちょっと考えてみたんだよ」
「足湯しながら花見って贅沢だね」
「だろ?道中老舗の花見団子も仕入れる予定。ほら、ここな?」
スマホを取り出してその公園のホームページを見せてくれる。
すっかり春のイベントカラーになっているホームページには、足湯の写真も載っている。足湯自体の規模は大きくないけれど、その周囲の公園は花見でブラブラ散歩をするのにも最適そうだ。
これは確かに誘われる。
「それでさ。今週末行ってみない?ちょうど金曜日が祝日だからさ」
「リサーチって事だね」
「ま、確かにリサーチではあるけれど、色気ないなぁ……。純粋にデートに誘ってるんだけど?」
デートだと改めて言われると、なんとなく心が浮き立つ。
「お花見団子もリサーチしたい」
「花より団子かよ」
ケラケラと笑う理央くんの笑顔が、可愛くて大好き。