泡沫の夜
「えぇと、彼女は中木 華(なかき はな)。俺の従姉妹」
車を近くのファミレスに止め、とりあえず何か飲もうと3人で店の中に入った。
華ちゃんは当たり前だと言わんばかりに、理央くんの隣に座って彼の腕に自分の腕を絡ませる。
その姿を見て、はっきりと思い出した。
いつか、恵理菜と一緒に行ったショップで理央くんといたコだ。
「華さんは、大人っぽく見えるけど……幾つ位なの?」
「……」
私の問いに答える気はないみたいだ。
ツン、とそっぽを向く様は、それでも可愛く見えるから、若さとか可愛さとかって罪だなって思う。
「華、俺お前のそういうところキライ」
理央くんが彼女の腕を解いてはっきりと言い放った。
「理央のバカ!」
そう声を上げた彼女の両眼には涙が浮かんでいる。
「じゃあ、どうすればいい?」
意外にも理央くんが厳しくて、声を挟む隙もない。
街で見かけたときは、可愛い彼女にねだられて仕方ないなぁって感じで話してたのに。
「理央、どうして?今日の理央、なんだか冷たい」
私のことを完全無視して理央くんへの不満を口にする華さん。
私が男の人だったら、許してしまいそうな可愛さだ。