ヘタレとドSとツンデレと
自室に彼女が入ったのを確認してから、羽柴は内側からその扉の鍵をかけた。
「さて、ノア君……今日は君のお誕生日。とても、特別な日です。邪魔な人間は居ませんし、ここでゆっくりして行って下さい」
「う?」
不思議そうな彼女に購入したミニブーケを差し出す。ピンクを基調とした花が、とてもよく似合う。
密室を作り出した事に気づいたのか、彼らが部屋のドアの前までやってくる足音が響く。
「ちょっと?羽柴さん、何してんですか?あれ?これ開かない!?」
ドアノブを必死に捻りながら乱暴に何度もノックしてくる。
「おい、ふざけんなよ!ここ開けろ!」
「うるさいですよ。せっかくの二人の時間を邪魔しないでください。今から所長と秘書の密会を楽しむんですから」
彼らの反応を見るのを楽しむ為に、更に煽るような言葉を付け足していくと、ドアの前で普段なら相性が悪い二人組が連携するのだから面白い。
「み、密会って何ですか!?ちょ、開けて下さいよ!所長と秘書って……嫌な予感しかしない!」
「変な真似したら、警察に突きだすからな!つか、まじで開けろよ!このロリコン天パ!」