ヘタレとドSとツンデレと
切羽詰まったら上司にだって、こんな口を叩く生意気で可愛いげの無い彼ら。
幼い頃の自分の全てだった家族という存在には、かけ離れた間柄である。
「不思議ですね……お世辞にも仲良しとは、言えないんですが……」
苦笑混じりに目の前の彼女に花束を差し出すと、喜んで彼女はそれを受けとる。
賑やかな場所なんて嫌いだったはずなのに……気がつけば、人をからかう事を楽しむ意地の悪さまで習得してしまっている。
母にのみ気を引きたがった子供の頃の自分が、今の自分を見たら何と言うのだろう。
「ろくでもない大人になったものですね」
羽柴は理解しようもない彼女の前で自嘲気味に呟いた。