ヘタレとドSとツンデレと


「シノミヤ、もう観念したら?良いじゃん、一つくらい食べてあげなよ」

「さすが、なっつん!」

「お前は他人事だからそんな事が言えるんだ……んぐっ!?」

 チョコレートをプレゼントしようとする人物への助け船を出したナツキヘの反論をシノミヤは返そうとした所で、タイミングよく口のなかに一粒放り込まれてしまった。




 口の中に少しの苦味と甘味が広がった所までは、普通のチョコレートだった。問題はそこからだ。



「ほら、シノミん。ボクの方を見てっ」

 両頬を見事に捕まれて無理矢理に顔を白衣の人物へと向かせられる。ふざけんな、と何時ものように怒鳴って払い退けるはずだった。はず、だったのだが……。


「……何で今まで気付かなかったんだろうな、俺は」
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