ヘタレとドSとツンデレと
「おい、ナツ……お前何やってんだ?」
怪訝そうな顔をしてやって来た男は少年へと聞き返す。
「あ、シノミヤ。今から料理作るんだから、あっち行ってて」
「あ?料理だ?お前が……?」
シノミヤと呼ばれた男は、ナツキの答えに更に眉間の皺を濃くして、切れ長の瞳を細めていく。
「まともに飯なんか作ったことねえのに、何でまた……あ?何だこれ?」
「あっ、それは……」
自分一人で色々と計画していたのに、嫌な奴にバレてしまった。
ナツキは再びシノミヤから本を奪い返すと、目的のページに折り目をつけて広げる。
「ほら、今から俺は忙しいんだから……リビングに戻ったら?」
「何が忙しいだ。つーか、それお前マジで作る気かよ?食えるもん、出来上がんだろうな?」
人が決意した所に、失礼な奴だ。シノミヤの言葉にナツキは、少しむくれた。