ヘタレとドSとツンデレと

 それぞれのリアクションを取りながらも三人の足は、羽柴から逃れるべく後退りを開始していく。




しかし、これまで羽柴から逃れる事など何故か一度として叶った事など無いのだ。




 この日もバレンタインデーとはかけ離れた悲鳴が本部内に響いたことは言うまでもない。







 
 その後、ノアが各々の部屋を訪れると、布団にくるまり小動物の様に震えているナツキと、あれは俺じゃねえ、と何度も繰り返し呟きながら壁に頭をぶつけているシノミヤ、そして、ベッドの上で静かに泣いているリュカが目撃されている。










 彼らは揃って口にしていた。チョコなんてこの世から消えてしまえば良い、と。







 そして、何時ものようにノアが紅茶を淹れに所長室に向かうと、やけに清々しい笑顔の羽柴が出迎えてくれ、ご機嫌そうに紅茶を嗜みながら口にする。







 やはり、バレンタインデーは楽しいイベントですね、と。






 その紅茶の横には可愛らしいサイズの丸いチョコレートが数個並んでいた。
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