ヘタレとドSとツンデレと
思わず返す言葉を失う。羨ましいが、その相手の真実を知っていれば、確かに同情の余地もあるのかもしれない。
「一応、貰うもんは貰ったし、返しは適当に買って渡せば納得すると思ってたんだよ」
「寧ろシノミヤの場合は用意する予定だったなら問題なかったんじゃないの?」
義理チョコの見返りの羽柴とは訳が違う。
好きな相手からのお返しでも、彼……いや、彼女は納得しなかったのだろうか?
「当日にあの野郎、何か連なった紙切れを持って来やがったんだ。それで菓子はいらねえから、これを使わせてくれって紙切れを渡された。そこには、しっかりと書かれてたんだよ。〈シノミんを二十四時間好きに出来るチケット〉。お前、あの時の俺の恐怖が分かるか?」
「……」
「しかも、あいつに二十四時間自由を奪われるんだぞ!もう何もかも失われそうな気しかしねえだろ!」
「あ……うん、そうだね」