ヘタレとドSとツンデレと
本命への下調べでこんなに空しい気分になって良いのだろうか?
無駄に将来共に生きていこうとする絵面がナツキの中に浮かんできたが、食費のためについには闇金にまで手をつける人生破綻ルートしか想像できずに、直ぐに振り払う。
好きなだけ、の五文字は彼女に口が避けても言うべきではないと学べた事は、今日一番の収穫だろう。
去年の羽柴とシノミヤに心の中で感謝とエールを送ることにした。
「と、言うわけで、本日は何としてもうやむやに逃げ切るしか無いのです。ナツキ君、ご理解頂けましたか?」
「あー……はい」
それは勿論、痛い程に。
会議室の扉が厳重にロックされているのもその為だろう。