ヘタレとドSとツンデレと

 その瞬間細い手に首根っこを拘束された。それは同じくシノミヤもだった様で、ナツキ達は訳もわからず呆ける他無い。いや、かなり状況的に嫌な予感しかしないのを、考えまいとする拒絶反応かもしれないが。






「さあ、行ってきて下さい。ナツキ君、シノミヤ君。私の頼もしい最後の切り札でしょう?」





「え……?」



「は……?」




そのままナツキ達は訳も分からないままに、扉の向こうへと、肉食獣のいる檻の向こうへと放り込まれた。






「ちょっ、羽柴さん!?この卑怯者ー!裏切り者ー!」





「オイ!マジでこの状況で放置する気かよ!?この腹黒天パ!」




 思いきりドアを叩こうと羽柴は勿論開ける事などするはずもなく、どこか状況を楽しむような、少し明るい口調で無慈悲な宣告を下される。






「どんなに不利な状況であろうと、大将首を失っては戦は敗けです。お二人の勇姿は絶対に忘れませんよ。ご武運を……」








 その後のナツキとシノミヤは、男のプライドも金も身ぐるみも全てを剥がされて、本部の庭園へ晒された。






 これを後に彼女達はホワイトデーの戦い、もしくは本部の変とそれぞれの支所に戻り言い伝えられたのだと言う。







 
 めでたし、めでたし。
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