オリオン座をみつけたら

出会い


「…新入生の子、だよね?」


屋上に座り込む私の背後から、戸惑った声後聞こえた。

「…はい。」


振り返る気も起きなくて頷いた。


涙がとめどなくあふれている。



「…これ、つかって」



誰かが私にハンカチを手渡してくれる。



「いえ。大丈夫です。」


「大丈夫じゃないよ。ほら、つかって?」


私の前に回り込み、しゃがむ人。


顔を上げると目の前に胡座をかいた男子。

鼻筋が通り、切れ長な目。しっとりとした黒髪が良く似合う。

かっこいい、単純にそう思った。


「ほら。」


ハンカチを受け取らない私の頬にハンカチをあてた。


< 10 / 22 >

この作品をシェア

pagetop