オリオン座をみつけたら

「そんなに好きなら陸上諦めなくてもいいんじゃないの?」


「いえ。分かっているんです。半月も練習をしなければ大会に出るほどの実力はなくなる。」


1日怠ければ三日分おくれる。

半月も出来なければ、もう…


「そっか。…さっき、夢中になれるものがないって、言ってたよね」


「はい。」

なにかに夢中になりたかった。

陸上なんて忘れたかった。


「今夜7時、ここに来れるかな?」


「えっ…?」


今夜7時って…下校時刻だって過ぎてるし。

「あ、もしかして用事あったりする?」

えーと…?こ、この人まさか不良!?

夜の学校に忍び込んで何する気なのよ!?

不良だ、不良!!

「あ、ごめんごめん。僕、3年A組の藍嶋星哉って言うんだ。今夜の事、先生には許可貰っとくから安心して!」

藍嶋星哉、先輩、がニコリと笑う。

「はぁ、そうですか。わかりました。今夜7時にここに来ます。」

先生に許可貰うらしいし、大丈夫だよね。

「うん、じゃあ楽しみにしてて。キミを元気にしてあげるから。」


「はい。」


今夜、何があるのか私にはさっぱり分からなかった。

だけど、何故だかもう涙はとまっていた。





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