オリオン座をみつけたら
「あ、聖川さんだよね?」
学校の体育館に向かう途中で男子生徒に声をかけられた。
「…うん、そうだよ」
「だよな!やっぱりな!」
ピンク色のシュシュで茶色いくせっ毛の前髪をまとめている彼は、見るからにチャラ男。
そんな男が私になんのようよ…
「俺、2年の佐藤渚(Sato Nagisa)。」
「そう。」
「ねぇ、その怪我、部活に支障はないの?」
「…ぶ、部活なんて入らないよ」
「えっ!?だって…陸上の推薦で入ったんでしょ?」
陸上、という言葉に過剰に反応する私の耳。
「…やらない。この怪我、半月は治すのにかかるから。」
私はそういって何か言いかけた佐藤渚の元を去った。