オリオン座をみつけたら
「なんだっけ、これ。見たことあります!」
中学の頃の理科の天体で。
なんだっけ…
あ、そうだ!これは…!
「「オリオン座」」
え?
今、誰かと…
「星哉に聞いてないし!」
藍嶋先輩。
「まやはちゃん、これはオリオン座っていう星座だよ。」
そう。オリオン座。
「はい、理科の教科書で見たことあります!」
「え?教科書?他には?」
私の言葉に驚いたらしく矢島先輩が大袈裟に目を見開く。
「いえ、教科書だけです。私、星をじっくり見たことないんです。生活リズム崩したくなかったので、学校から帰ってきたらすぐ寝てしまって…」
「え、そうなの!?…そういう人もいるんだねぇ…」
「はいはい。ねえ、まやはちゃん、オリオン座ってね?」
「…はい?」
「オリオン座をみつけたら、他の星座も見つけやすくなるんだよ。」
「…」
「だからね、オリオン座っていうのは、他の星を見つけるための目印なんだ。」
「目印…?」
「そうだよ。まやはちゃんの、オリオン座を見つけてほしいんだ」
「…私の、オリオン座…?」
「そう。まやはちゃんの、目印。」
目印…。
「辛くなったら、泣きたくなったら、そういう時は目印を目指して歩いてよ。」
…。
「あたしにとっての目印はね、彼氏なの。」
冴先輩が。
「辛い時、泣きたい時、いつだってあたしには彼氏がいたの。だから、私の目印は、彼氏。」
「俺にとっての目印は、目標だよ、まやはチャン。」
「目標…?」
「うん、俺ね、こう見えて警察官目指してんだよ!だから、警官になるための心得みたいなのとか。色々支えにしてるんだ。」
そっか。
「みんなそれぞれ目印はちがうんだ。人だったり、目標だったり、映画とか曲とかさ。だから、まやはちゃんも目印を見つけてよ。」
「…はい。」
素敵だな、と思った。
私も、はやく目印を見つけたい。