オリオン座をみつけたら

「なんだっけ、これ。見たことあります!」


中学の頃の理科の天体で。

なんだっけ…

あ、そうだ!これは…!

「「オリオン座」」

え?

今、誰かと…

「星哉に聞いてないし!」

藍嶋先輩。

「まやはちゃん、これはオリオン座っていう星座だよ。」

そう。オリオン座。


「はい、理科の教科書で見たことあります!」


「え?教科書?他には?」

私の言葉に驚いたらしく矢島先輩が大袈裟に目を見開く。


「いえ、教科書だけです。私、星をじっくり見たことないんです。生活リズム崩したくなかったので、学校から帰ってきたらすぐ寝てしまって…」


「え、そうなの!?…そういう人もいるんだねぇ…」


「はいはい。ねえ、まやはちゃん、オリオン座ってね?」


「…はい?」


「オリオン座をみつけたら、他の星座も見つけやすくなるんだよ。」


「…」


「だからね、オリオン座っていうのは、他の星を見つけるための目印なんだ。」

「目印…?」

「そうだよ。まやはちゃんの、オリオン座を見つけてほしいんだ」


「…私の、オリオン座…?」


「そう。まやはちゃんの、目印。」

目印…。


「辛くなったら、泣きたくなったら、そういう時は目印を目指して歩いてよ。」


…。


「あたしにとっての目印はね、彼氏なの。」

冴先輩が。


「辛い時、泣きたい時、いつだってあたしには彼氏がいたの。だから、私の目印は、彼氏。」

「俺にとっての目印は、目標だよ、まやはチャン。」



「目標…?」


「うん、俺ね、こう見えて警察官目指してんだよ!だから、警官になるための心得みたいなのとか。色々支えにしてるんだ。」


そっか。


「みんなそれぞれ目印はちがうんだ。人だったり、目標だったり、映画とか曲とかさ。だから、まやはちゃんも目印を見つけてよ。」


「…はい。」


素敵だな、と思った。

私も、はやく目印を見つけたい。




< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop