オリオン座をみつけたら
なんで、分からなかったのだろう。
何度も桃梨に負けた。だから、私は2位しか取れなかった
そんな中行われた全中連、私は練習で怪我を負って、棄権した……
その怪我はまだ私に付きまとっていて。
桃梨は笑いながら、
「宣言しないと私、諦めちゃいそうなので!」
と一言付け加えた。
諦めちゃいそうなので、って……
私だって、何度も諦めそうになった。
ももなに何回も負けて、諦めそうになったの。
モヤモヤして気持ち悪くて。
私は必死に唇を噛み締めた。
「じゃあ次、聖川さんね。」
「はい…」
カタン、と椅子の音がやけに響いて聞こえた。
「聖川まやはです。よろしくお願いします。」
面白みも何も無い自己紹介をし、座ろうとする。クラスが一瞬しらけた。
「え?まやはって、陸上やってんじゃん!」
ードクン
桃梨がニコッとわらう。
「怪我、早く治してまた戦おうね!」
何も知らずに私の怪我の完治を願う桃梨。
そんな桃梨が何故かとてもイライラして。
「まやは速いから負けないように練習しとく!」
桃梨がガッツポーズで笑う。
どんな桃梨も、今は真っ黒に見えた。
ガタンッ
私は勢いよく机を叩いた。
クラスが水を打ったように静まる。
「…ない。」
「…まや、は?」
「…ないって。…もう、陸上なんてやってない!!」
大声で怒鳴る。
「えっ!?」
「私、もうやめたの。いくらやっても桃梨には勝てないし。それに…怪我しちゃったし。」
「大丈夫だよ!!」
桃梨は困った顔をして言った。
「大丈夫なんかじゃない!私の気持ちなんて桃梨には分からないよ!!いつもいつも私が欲しかった金メダルを簡単に取って…そんな桃梨には私の気持ちなんて、わからないよ…」
俯いて涙をこぼす。
クラスの雰囲気が重苦しいものに変わっていくのが分かった。
私はここにいちゃダメだ。
私は咄嗟に、
「…ごめんなさい!」
そう一言いって教室を飛び出してしまった。