その音が消える前に、君へ。


裏切りは人をどのように変えるのか、それは未知の世界で怖くて逃げてた。

でもそれは自分に後悔を残すだけの結果となるだけ。

だから、私はあなたに真実を伝えるんだ。

この力で聞こえているものすべての正体を。



「榊くん、どうして急に転校なんてしようとしたの」


「それは、家の事情でーー」


「嘘よ」



榊くんの言葉を遮ってキッパリと言い放つ。

いつもと違う私の雰囲気に、榊くんは動揺を隠しきれていない。

そのまま私は勢いのまま吐き出した。



「そうやって全て誤魔化そうとしても私には通用しない。球技大会で会話した時も、夏休みの臨海学校の時も……全部隠してたんでしょ」

「……」

「私は裏切りを犯す」



そう告げると、榊くんは息を飲んだ。

時間がない、だからちゃんと聞いて。




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