その音が消える前に、君へ。


本を元あった場所へと戻し終わると、本棚一列一列を点検する作業へと切り替えて歩き出す。


平日とだけあって、今日は人気があまりない。


時々見かける人の姿を見つめつつも、棚を見上げる。


一冊の本に綴られている文字達が閉じ込められている、宝箱のような魔法の本達がそこにはある。


そう思うと自然とドキドキと胸が高鳴る。


ゆっくりと歩きながら、ある一冊の本に目が止まった。


マイディアントの輪廻……確かこれは……


ゆっくりと手を伸ばしてその本へ手を触れようとした、



その時だった。







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