その音が消える前に、君へ。
グループ事に集まれという指示を出され、動き出そうとするものの、重たい腰は上がらない。
どうか神様、これ以上私に試練を与えないで。
なんて願った所で何も変わるわけもなく、陽菜乃に引っ張られるまま振り分けられたグループへと連れていかれる。
8人ずつの5グループで、この行事は進んでいくらしい。
集まったメンバーが今更ながらの自己紹介をしていく中、私は目の前に座る榊くんから意識を逸らそうと必死だった。
鳴り止まない心臓の音が全身に響いていく。
彼の音を聞いてからというもの、やっぱり私おかしくなってしまった。
バチリと目が合ってしまえば、わざとらしく視線を逸らすことしかできない。
冷静だった私がいつの間にか消えた。
自己紹介を終えて、これからのスケジュールについて話す先生の話も頭に入ってこない。
暑さのせいでやられてしまったのだと、自分に言い聞かせることしかできなかった。
こうして予想もつかない私の夏休みが、始まろうとしていた……