その音が消える前に、君へ。
アスファルトからの熱から逃げるように、木々に包まれた1本道を歩くとホテルが見えた。
ぞろぞろと100人近い生徒達がホテルに向かっているものだから、少し時間をずらせば良かったなと思いつつも行列のできたフロントで部屋の鍵を受け取った。
グループメンバーの残りの女子二人とも合流し部屋へと入ると、清潔感漂う広い部屋に自然と感嘆の吐息を洩らした。
白を基調とした部屋の大きな窓から見えるのは、真っ青な海。
絶景と言ってもいいこの部屋の代金はいくらなのだろうと、一気に現実的な思考が回る。
こういう所が人と違うと言われる部分なのだろうが、考えることぐらい自由でいい。
荷物を置いて大きな窓を開けると、テラスが存在していたことに気づき外へと出た。
潮の香る風が一気に吹き抜けていく。
眩しい光が輝き、青空が小さく揺れたような気がした。
「うわあ~!眺め最高!」
陽菜乃も隣にやって来ては、その景色を堪能しているようだ。
同じグループの残りの二人も荷物を置いて、こちらへと駆け寄ってきた。