その音が消える前に、君へ。



渋々陽菜乃にされるがままにしようと覚悟を決めると陽菜乃が私の横に立ち、残りの二人も同じようにして私達の前に立った。

何が始まるかと思えば、陽菜乃が自分の胸に手を当てて一礼する。



「改めまして、牧田 陽菜乃です。特技は球技全般、彼氏いません!どうぞ、よろしくね!」



いきなり始まった自己紹介に今度はツインテールの子がピンと片手を上げた。



「高木 杏凪(タカギアンナ)だよ!趣味は歌うこと!彼氏募集中だよ!」


杏凪と名乗ったツインテールの子に便乗するように、隣のポニーテールの子も小さく手を上げた。



「村上 瑠依子(ムラカミ ルイコ)。趣味はお菓子作り。好きな人は……えっと、その……」


「るい~顔真っ赤だよぉ?」


「あんちゃんっ、そうやって言わないでよ……!ますます意識してっ……」



顔を林檎のように赤くする瑠依子と名乗った子に、陽菜乃も食いつくように弄り始めた。


これは加わった方がいいのかと考えていると、ポニーテールの子……ではなく、村上さんが私に助けを求める目で見つめてきた。







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