その音が消える前に、君へ。
夜空の星へ
図書館へと帰って来てからは、二人とも黙々と調べ物をこなしていく作業の時間となった。
日が傾く頃にはバラバラに行動していたグループメンバー達もやってきて、調べたことをザックリと話した。
ただ昼間のように笑っている榊くんだが、明らか薄い薄い壁を何重にも作るように距離を皆と置いているような気がした。
これでは私第二号の完成になってしまう。
しかし周りはそんな彼に気づきもしない。
「紗雪?なんかあった?」
ぼそりと小声で私を心配する陽菜乃に、心が温かくなるのが分かる。
「大丈夫。暑さでちょっとバテただけ」
事実の一つを伝えると、頭を撫でてくる陽菜乃に小さく睨んだ。
「そんなことして、日中遊んでたこと許してもらおうって気じゃないでしょうね」
「そ、そんなことあるわけないじゃんっ!」
焦る陽菜乃を見て上手い事誤魔化せたとほっとしつつ、話し合いが終わった事に気づき部屋へと戻る。
ワイワイと騒ぐ女子三人組にはついていく事なく、自分のベッドへと一目散へと向かいそのまま倒れ込んだ。