その音が消える前に、君へ。
すると突然部屋の扉が叩かれ、入ってきたのは先生だった。
「青春してるところ申し訳ないけど、あなた達のグループの男子達がロビーでお待ちよ」
説明は終わらせてきたというのに、一体なにがあったのだろう。
4人で顔を見合わせて、急いでロビーへと向かった。
広いロビーへ辿り着けば、ソファーに座るお同じグループの男子達がいた。
「悪い急に呼び出して」
私達に気づいた一人がこちらに向かって手を振った。
ソファーの前に全員集まったのを確認して荻野くんが口を開いた。
「突然なんだけど急遽肝試しを行うことになって、グループで男女ペアを4組作ってほしいって」
「え?!き、肝試し?!」
「先生達のサプライズ企画なんだと」
「う~~いらない企画を……」
「右に同じ」
文句しかでてこない女子を宥めるように男子達が笑わせようと必死になっている中、榊くんと目が合った。
「こういうの苦手?」
突然そう聞かれて、戸惑いながらも首を横に振った。
肝試しは散々、信に連れ回された過去がある。
経験はあるが、あまり得意とは言えないというのが本音だが顔には出ないタイプなので、怖がっていると思われないらしい。