その音が消える前に、君へ。
夏の花
茹だるような暑さが続く中、私は私らしくないようにリビングのソファーの肘かけに頭を垂らすようにしながら窓の外を眺めていた。
臨海学校が終わって一週間が過ぎ、私は夏休みの課題を終え来年の受験勉強の準備に取りかかろうという気持ちがあるにも関わらず無駄な時間を過ごしていた。
臨海学校での出来事がまるで全て夢だったかのように感じてしまい、人との関わりが断ち切れたこの環境がやはり落ち着いてしまう。
「はあ……」
青春を無駄にするなといつだったか陽菜乃が口にしていたのを思い出し、自分の怠け具合に叱咤するように体を起こした。
でもやる気がでないのだからしょうがない、いやでもこの時間も勿体ない。
体と考えが一致しないせいで何をしても中途半端になってしまっている。
家族には予定があるというのに、どうして私にはなくこんな生活を送っているのだろう。
そんな事を考えていると、滅多にいじらないスマホが自分の存在を示すように通知を知らせた。