その音が消える前に、君へ。
綺麗に咲き誇るのはほんの数秒で、それだというのに人々を魅了していく。
花火には職人の魂が込められた分、思いと吹き込まれた命と共に輝かしく咲くことが出来るんだろう。
魔法のように夜空へとその身を花開かせるその姿に人々は足を止め、心を奪われる。
枯れて朽ちていくその姿も存在しないから、尚の事美しいと感じるのだろうか。
それでも私はこの花火よりも綺麗なものを――綺麗な音を知っている。
「「「たーまやー」」」
三人が息を揃えてそう叫んで、自分の中に籠っていたことを知り皆と同じ空気を吸うかのように呼吸を整えた。
ふと横目で見ると三人は顔を見つめ合わせながら、楽しそうに笑いあっていた。
「いや~やっぱり花火って綺麗だよね」
「みんなと来れたから、余計に楽しいしね」
「来年もまた来ようよ~」
わいわいと騒ぐ三人に、小さく微笑み再び花火を見上げた。
来年も……その言葉にどこか切なくなる気持ちを抑えながら一つ伸びをした。
来て良かった、そう思いながら三人を見た。
「私飲み物買ってくるね」
「え、付いて行こうか?」
「大丈夫」
楽しいこの空気から抜け出すのも少し惜しいところではあるけれど、切なくなってしまいそうになるこの感情を脱ぎさらいたい気持ちが強い。