その音が消える前に、君へ。



私の定期テストの結果の紙をピラピラと揺さぶり、わざとらしく風を扇ぐ信に、やれやれとした視線を送る。


定期テストもレイアント達が把握し、学力面でもサポートしていくというなかなか有難いシステムだ。


力の事を他言出来ないが故に、ストレスを溜めやすいことで力が暴走してしまうケースも中にはある。


その問題を解決させるには、同じ力を持ち生き抜いてきた存在を傍に置くこと。


共感者が傍にいなければ人は崩れやすくなる。


それを防ぐのがレイアントの役目。


こんなちゃらんぽらんな男が、教師と同じ立場にいて公務員扱いされているのだから腹が立つ。



「テストも問題ないし、力の方も相変わらず大丈夫だろ?」



ようやく落ち着き始めた信は、ドッと勢いよく椅子に座り込み長い足を組む。


大したことのない格好なのに、絵になるところがいい男の証拠なんだろう。


好みではないが、それだけは認めてやることにした。




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